2019-01-01から1年間の記事一覧

エスカレーター鏡に映る 子どもたちの中の自分

時間を延ばせる魔法はあっても 命を燃やせる息吹を失う 筆をおけず塗り重ねる油絵 物足りなさに魅せられていたのに 不安になって付け足して 形にはまり規則に殉じて 老化する身体に縮こまり 人はまた考えなくなるだろう

ノックしている 君がドアを 寂しい人を独りにしない 待ってくれる 事を急がず 顔を上げたら微笑んでくれる 本当に行くのか 決めてしまったのか どこかでまた会おうだなんて そんな言葉で誤魔化しあって 手を振った見えなくなるまで 寂しいだなんて口にしない…

忘却

君があけ放った窓から 向かい入れた風 吸って吐いた 希望が湧いた 遠ざかる雲は 形を持たない いなくなるなんて 考えたりしない 一つのリンゴを分かち合うなら 永遠はどこにもなく 思い出は塵のよう 共にいた時間は夢のよう 愛しさはいつも過去

気球

嫌なことがないこと 面倒がない日々は 安心で楽だ 食器や衣服を使っては洗い おもちゃを遊んでは片付けて 使った布団を畳んでは敷く 滞りなく進むことなく そこに子どもたちは割り込んで 慌ただしく過ぎる 繰り返し終わらない日常 続く日常はやがて死により…

2歳になる君が 言葉を並べながら 好きな食べ物 覚えた動物を教えてくる日々 思い通りにならない 癇癪を繰り返し 床に落ちたパンくずを 拾うのにも慣れた 生まれたばかりのとき 一歳になったとき この腕で抱いたその重ささえ どうにも思い出せない 日々が塗…

話しておくこと

電線に小鳥が縮こまり 朝の陽だまり猫だまり ぬくい部屋の窓から 音のない風を見ている 流し始めたいつものアルバム 洗濯物を干す君が サビの一節をなぞるから 鼻歌は冷たい風に混じって ベランダの青空の匂い 冷えたコンクリート黄色の花 家事の分担や節約…

お節介

人のためになんていいながら 何かしなきゃいられない それは自分の安心のためなのさ よってたかっておもちゃにして よくやったと思いたいのさ あなたが私をいい人に見せてくれる No No No No No そう言いながら どっかでそんな気がしてる 1人は寂しいに違い…