話しておくこと

 

電線に小鳥が縮こまり

朝の陽だまり猫だまり

ぬくい部屋の窓から

音のない風を見ている

 

流し始めたいつものアルバム

洗濯物を干す君が

サビの一節をなぞるから

鼻歌は冷たい風に混じって

 

ベランダの青空の匂い

冷えたコンクリート黄色の花

 

家事の分担や節約の話も必要だけれど

いまだから話しておくこと

あったようなないような

 

夜明け前の寝室から

足音たてずに抜け出して

燃えるゴミを片手に

僕は玄関を出るよ

 

温かい布団からはみ出た

君の頬に触って

行ってきますを枕元に残して

 

将来やローンの話も必要だけれど

明日では話せないこと

あるようなないような