口がきけなくなる前に
言うべきことがあった
この足が止まる前に
赴くべきところがあった
スプーンで運ばれた
ひと匙の粥が
溢れてしまわないように
美味しいねと思えるように
空の青の青さは
見えない目でもわかる
風の匂いが変わる
君が窓を開けたから
賞賛も財産も
食べきれない体で
後悔を垂れ流し
ここにいてもいいのかい
痛む傷を洗い
懐かしい歌を聴く
おやすみなさいを
誰かの代わりに言える
星の綺麗な夜に
泣いている私の
そっと肩を抱いた
忘れてただけで
知っていた
海の青の青さは
見えない目でもわかる
いつしか言葉はなかった
そこにいるだけで叶った