2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

突然に一人の母の命の火が消えかかる 本当にあったのだ それは燃え続ける灼熱のジャングル 全速力で走り続ける終わらない短距離走 心臓が疲れて止まるほどの苦しみに 耐えるしかないなんて 彼女はこれまでに3回命をかけたことがあった 光の中に3人の子どもの…

船着場で行き交う観光船 目に入るものすべて 指差し声をあげる 我が子を高く抱き上げて 湿った風 瞳はグレー 霞んだ臨海副都心 古くなった未来 ベンチでかじったサンドイッチ おぼつかない足取りで パン屑をついばむ鳥たちを追いかけて

私だけ

日差しに揺れる緑から 空の色までわかる どこにも行けない私に届く風もある どれだけの時を生きても 自由なはずの心をしばるのは いつも私だけ 夜には月のボートが 宵闇に独り彷徨う 天の川に身をゆだね 誰も知らない別れもある どれだけ愛に生きても 手放す…

いつでも子どもたちは陽射しの下を かけ回って今を重ねている 青空を触る木々のダンス お腹の上で僕を見る赤子の瞳 どこかで母を探している 時の川は流れて 同じ場所には戻れない さよならの前では 人は赤子になる 昼に部屋に入った陽射しも 星々の夜には幻…