死ぬことがわかったら

 

花の寿命

命の長さ

生きるということ

私は

生きているだろうか

 

もう生きることはできなくなった

若い魂

死にゆく身体

永遠の魂

家族には別れが訪れる

心の準備とは

毎日の中で気持ちを

伝えてきたかどうかだ

 

言葉はいつも言い足りない

ぬくもりは忘れたくない

それでも時間は限られ

別れは刻一刻

握っても握っても

掴まえられない

とどめておけない

一緒には行けない

生きなければいけない

被害者になれない

憐れんではいけない

歩かねばならない

 

生きるとは死ぬ人によって

意味を持つのだろう

 

きみは失うひと

ぼくは失わないひと

 

昨日までは

きみも失わないひと

 

こんなことが

本当に起こるのが人生なら

人生を恐れるぼくは

当たり前かもしれない

 

朝起きたとき

責任感だけで

重たい身体を起こす

生きることは

めんどうくさい

 

傍で息子が

起き抜けに笑っている

朝とは喜びである

生きる意欲は無限大だ

 

失わなうことの恐れ

息子も妻も

家族も友達も

ぼくは失うかもしれない

おおいにありえる

 

息子がまだ1cmだった頃

お腹のむこうの

心もとない灯火に

毎日が不安だった

そのときに思った

未来の心配より

今ここにいることを

大切にしなければ

今ここにいることは

間違い無いのだから

 

今を大切にするとは

どういうことか

 

明日もし脳出血で意識をなくして

天国に帰ることが決まったら

どんな後悔をするだろう

 

心配する家族の

心の荷を降ろせるか

父を失う息子に

愛されたという証を残せるか

 

明日もし死ぬと知っていたら

目の前の人たちにわたしは

なにを言うだろう