自然。豊かさとは。素朴さ。
実際に土に触って耕して草花や野菜を育てている人たちには、どこかで絶対に勝てないだろう。
感謝を口にしても、言葉に力がない。
雨土と接点なくして本当の感謝には届かない。
今ある当たり前。
立派で快適なマンション。
毎晩、大浴場。使おうと思えばサウナもある。
道具や物も揃っている。溢れている。
子どもたちも育ち、支えてくれる家族もいる。
仕事も滞りなく、身体も健康。
一方で慎ましいといえば慎ましいのか?
いや、彩りがなく楽しみ方がないと言える。
使えているものに限りがある。
服はいつも大抵同じ。カバンも財布も。
同じ駅を往復し、同じ地域で同じ道を繰り返し回っている。
お金はあまり使えない。
食事に贅沢をしている。
無添加、安全なものを選んでいる。
込めて生きるとは何だろうか。
リッチとは違う豊かさとは。
子どもたちと川の字で眠る嬉しさとは。
身体がバキバキでよく眠れない不満もあるが。
当たり前に見えて今しかないものたち。
子どもたちとの日常も、
健康も、仕事も、心の余裕も。
束の間であるという真実を隠しながら
まるで永遠に続くような様相で、
次から次へと波の様に寄せて
ただただ飲まれないよう溺れないよう
費やすばかり。