風が遊んでいる
麦畑は波を打ち
金色になびいている
その喜びは
地平線にいざなわれ
やむことのない胸騒ぎ
オーケストラは主題に入る
主旋律は生きる歓び
伸びやかなチェロのソロは
摂理を理解する寛容さを見せる
夕立が迫り陽が陰る
過ぎ去っていくと知りながら
恐れをぬぐえず息を飲む
雨は恵みか災いか
生きようとする 死ぬときまで
自分以外の恩恵に預かり
自分が存在する限り
なにひとつ我が物はない
授かり 結び 託すこと
実りは自分のためにない
わたしはわたしのために
生きてはならない