くじら

 

混沌と怒りのごった煮の満員電車

新鮮な空気求め

海面に浮上する

クジラの背中

 

夜明けの沖合で

キラリと光る

ビル群の影が

切りとられた影絵

 

喜びが苦悩から出ずるものなら

悲しみこそ幸福の始まり

 

青空に潜水して

透き通ってく心で

何もかも 脱ぎすてるから

愛だけは残して

 

光の無い海底から

目を閉じ浮上すれば

こだわっていた1つ1つが

泡になって消える音がした

 

形あるものだけが

価値のあるこの世界で

誰かに讃えられるための

着飾った言葉はいらない

 

夕焼けに沈んで

温かい海求めて

大海に進めば

巨大なくじらも

宇宙の星屑

 

皿からこぼれたパン屑を

小鳥がついばむ波音のリフレイン