蝉時雨

 

夜の新宿中央公園

目には見えない蝉時雨が

暗闇を支配する

 

生暖かな風が茂みを揺らし

かすかにタバコの匂いがする

 

生きていることを忘れて

死んだように毎日を費やす

 

夏の日の輝きのように

一瞬でもいいから

ボールを追いかけたあの頃のような

意味があるかないかではなく

一心に何かに打ち込める時間

 

蝉時雨が教えている

一心にただ生きている

その価値を