月夜

新宿のビル群の上を

月の光をすかしながら

薄雲がすべっていくのを見た

 

昨日 網戸越しの風に吹かれ

見上げた月と同じ月か

 

いま 月と見つめあっている

そんな誰かが

ぼく以外にいるだろうか

 

友だちや家族

大切な人たちは

眠れているだろうか

布団は太陽の匂いがするだろうか

 

朝がきたとき

みんなそれぞれの今日が

美しいものであるように

苦しくも楽しくも

あなたがあなたでいられますように