もし風になれたら

草むらをかけ

喉をうるおし

空を仰ぐことを亡くした君

その手で子をなでること

ありがとう、ごめんねを

口にすらできない君

 

すべてが叶う今の私は

その手足でなにをする

 

もし風になれたら

立ち尽くす木に

旅を伝えて

もし大地になれたら

どんな季節が巡っても

決して君を一人にしない

 

いつか枯れて朽ちる日も

私は嘆くこともない

出来ないことの数よりも

できることをしていたから

 

もし風になれたら

君を窓辺でなぐさめる

可愛い小鳥を招くだろう

もし大地になれたら

君からもらった愛の種

この身に抱いて咲かすから